大草原の小さな寒村

孤独に歩め。悪をなさず。求めるところは少なく。林の中の象のように。

板垣恵介「餓狼伝」の再開への期待。または叶わぬ願い。その1。

※注意 筆者は夢枕獏の原作を1ページも読んでません。完全に板垣恵介版のみを解釈した記事になりますので、原作小説との見解の誤りがございましたらご了承願います。 先日。10年以上ぶりに、『板垣餓狼伝』をイッキ読みしました。 これが『刃牙』と並行連載さ…

2023年、観た映画を新作旧作関係なく列挙してみるメモ。

では、面白かったものは太字で。 思うところがあったら、ネタバレにならない程度に所感をば。TwitterやFilmarksにての感想のリンクも置いときます。読みにくかったらすんません。では。 PSYCHO-PASS PROVIDENCE もはや、視聴者の誰もが、PSYCHO-PASS1期を神…

映画感想『CURE』黒沢清(1997)

まず、この映画は『ファイトクラブ』と同じ構造の映画である。現代社会への閉塞感を暴力で打開する映画。その根拠に、現代社会と相容れない人間の本能(村上龍『愛と幻想のファシズム』で云われているような現代社会によってパージされた人間の本能)を置く…

個人主義の果てに。サイコロジカル化する世界。だから、絶対に守らなくちゃいけない「規範」

数年ぶりに映画『虐殺器官』を観てた。徹底的な監視・管理社会でテロリズムを抑止している世界の映画である。「9・11テロ以降」を前提に、人物や社会に関して、かなりリアリティのあるディストピアを描いたハードSF映画だ。映画では言及されてなかったけど、…

音楽映画紹介「青い春」

『青い春』(2002) 監督: 豊田利晃 原作者: 松本大洋Amazon.co.jp: 青い春を観る | Prime Videowww.youtube.com 音楽は、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT。並びに、ミッシェル系の日本のガレージロックバンド複数組が挿入歌を務める。劇中にBGMはなく、これらロ…

陰謀論がたとえ真実だったとしても陰謀論を信じてはいけない話。

きょうは8月12日。何かとは あえて言わないが、この日は毎年、色々と陰謀論が まことしやかにささやかれる日である。私は かつて『陰謀論とは無自覚な悪』『陰謀論は、善人が、嘘の情報を、よかれと思って風説する現象』だと断じた。百歩譲って、陰謀論が真…

ネットスラングと社会ダーウィニズム

最近、Twitterとかユーチューブで散見される、なんだか、シャクに触るような言い回しがある。具体例をあげる。「性癖」の意図的誤用。「擦る」の意図的誤用。「◯◯くん」。といった言葉。 言語体系というものは、もれなく淘汰の上に成り立っている。日本の標…

俗流実存主義者のフィクション観。

nuryouguda.hatenablog.com 奇妙にも、自作の漫画から縁故を深めた、高校生時代から愛読しているブログの主であるヌ・リョウ・グダ氏に、拙著をフックアップされたので、その記事群への感想として。先ずは上記を読んでから、対戦よろしくお願いします。 彼の…

『ぼっち・ざ・ろっく!』と、2023年の邦楽インディー・ロック界の覚え書き

10年ほど前の話。暫く連絡を取っていないが、私には、声優志望の友達がいた。 彼はかなりのヒネクレた“中二病”で、声優学校のチャラい同級生を毛嫌いし、蜷川や富野の「本物の芝居を見ろ」という言葉を真に受け、よく私を、下北沢に居る名も知れぬ小劇団の戯…

「神道」の国教化に関する考察。大政奉還と王権神授説。

明治維新における「大政奉還」は様々な狙いがある。大政奉還の理由は、列強に追いつくため、合理的でスピーディーな日本の近代国家化の方法として、大政委任論をつくり、天皇を中心とした神道の国家を建設する。という言説が最もポピュラーなのだろうか。実…

文化盗用の危険性について。

芸術というものは、有史以降、文明社会と密接につながっている。芸術は、人間の実存を社会に表明する行為である。とりわけ、グローバリズムが世界を覆う前の世界。芸術というものは社会を動かせるだけの力があった。人類史において、その最たる現象は、言う…

「陰謀論者」とは何者か。

かつて、「愛と平和」というスローガンは最も強く、否定/批判することが難しい言葉だった。少なくとも、現代日本社会というものは、愛と平和を享受して当たり前。それ以上に愛と平和がなくては成立しえない社会だからだ。愛と平和は、「良識」という価値観に…

「ぼくらの」を一気読みして憔悴した

もう、しばらくすれば。2022年間。地球人類が連綿と紡いだ西暦のこよみに、一つ数字が刻まれる。傷跡のように、「2」にもう一角、「3」と。ぼくはこの事実に耐えきれない。毎年こんなことを思いながら、布団でただ横たわる。今年は特にひどくて、食事もサラ…

Twitterと敗北主義 ランバ・ラルとアムロ・レイと僕

「敗北主義」という言葉がある。漫画ヘルシングを読んだ人ならたぶん言葉だけ知ってるであろう単語。敗北主義とは - コトバンク辞書の意味合いではこういう意味だ。くだけて説明すりゃ。「負けてても良いんだよ!」に尽きてしまう意味。僕は、この言葉を受け…

『ぼっち・ざ・ろっく!』。音楽業界のロシア・ウクライナ戦争。帝国とマルチチュード。について。

日本時間2022年11月29日現在。2022年2月24日(その前からうすうす予感が脳裏に走っていたが)ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、僕は今年、趣味のロックバンドDIG収集にやる気が薄れた。それは、2020年コロナ上陸当時のコロナによる世間の異常な空騒ぎの…

アニメ漫画におけるフーコー

まず開口一番に話したいのは『ガンダムUC』です。個人的にガンダムシリーズで結構好きです。かなり強度のある話だと思ってます。めっちゃ拾い画像で申し訳ないんすが、これはラディカルな社会学の真意を突いている台詞だと思います。スペースノイドとアース…

『けいおん!』『ぼっち・ざ・ろっく!』「きららアニメ」「難民枠」に関する私論。

ときに、西暦2013年。アニメ『ゆゆ式』から『きんいろモザイク』への潮流を起点に、「きららアニメ」というジャンルは確たるものになった。キャラクターのゆるふわな日常が描かれることが特徴の、「難民枠」。あるいは「空気系」とも言えるジャンルだ。この…

『秒速5センチメートル』における『one more time one more chance』新説

僕は秒速5センチメートルを何度観ただろうか。 実際パトレイバー2に匹敵するほど、超ヘヴィーで観ているのは確かだ。もはやポエム台詞ひとつひとつがオルガ・イツカの詠唱のように聞こえる。ここでは小説版の話は加えない。映画逆シャアでベルチルの話をする…

Galileo Galilei 再結成によせて

タイムラインでGalileo Galilei再結成の文字が踊った。本当なのかと、リアルタイム検索。マジだった。私にとってGalileo Galileiは、多感な10代後半から20代前半まで、一番聴いた活動中の邦楽ロックバンドだ。はじめに出会ったのは、駅前TSUTAYAさんで借りた…

国葬とかウクライナとかリコリス・リコイルの感想 あるいは日記。

現代人類ちゃんは、「<帝国>と<マルチチュード>」の世界で生きているんで、安倍晋三国葬反対過激派が出現しても、しょせん「唯物的に必然」だとしか思わない。これは悪の枢軸国をやっつける世界の警察アメリカが当たり前だったイラク戦争の時から変わら…

言語と認識

「思考は、言葉によって規定されたりはしないッ」ドカーン サーリーロデッドヨンデー♪『虐殺器官』のジョン・ポールは先進国と後進国との壁を作るためにアジテートしてきた男だが、人類文明は資源の奪い合いによって成り立っているので、先進国だけスパっと断絶させて…

サブスクではダメだ。タワーレコードでCDを直接買うべきなんだ。

音楽が好きで、とくに最新の流行に目がないという音好きは、タワーレコードに行って実物のCDを買うべきだと僕は思う。タワーレコードにある、自分の好きな音楽コーナーの、店員が情熱を込めて描いた手書きのポップ。プッシュしているバンドたちのコーナーの…

次なる「漫画カルチャー」はアマチュアが中心となる。

いま、マンガ業界は、パソコンやスマホで読める無料型プラットフォームが破竹の勢いで人気を集めている。「タコピー」を輩出したジャンププラス。「僕ヤバ」のマンガクロス。etc...弊TLでは、みながWEB作品の更新を楽しんでいる光景が当たり前になった。雑誌…

『Ζ・刻をこえて』時代の転換期に聴きたい一曲

ここ数年に起こった、ウクライナ侵攻、コロナウィルス、衆院選、そして参院選という時代の転換期。そのたびに、ぼくには、聴かずにはいられない一曲があった。それが『Ζ・刻をこえて』 「機動戦士Ζガンダム」とは、まるで不可解なオーパーツのような作品であ…

漫画一作描きました!

ガン・オーダーズ THE GUN ORDERS ~銃撃請負人~ rookie.shonenjump.comちょーかっこいい漫画だと思ってるんで、ぜひ読んで下さい!!

デジタルアニメがもたらした青空の世界

ちょうど「ブギーポップファントム」をDアニメで観てた。ちょー陰険な演出が冴え渡ってる。暗い。とにかく暗い。本作はセルアニメだ(時代の過渡期でデジタル機材も使われていると思うけど、セル画が流出してたので、そう認定)。そして、ブギーポップは2019…

「原理原則主義者」であるということ

幼い頃、父親とこういう会話をした。 ぼく「今ならネットで何でも買える、それは善いことだ。」父「ネットでなく実物の売り場に行くことのほうが善い。売り場にたどり着くまでに色んな発見と出会える。」ぼく「世の中は新卒主義だから一歳でも若くないと採用…

近況報告!

Twitterで人間不信に陥りました。 タイムラインを観て、窮屈だなーって感じた。同じタイプな人をフォローしつづけても、自己エコーチェンバーなタイムラインしか構築できてねえやんけ。と思った。だから、いろんな見識を持った人をフォローしたんだけど、堅…

シン・ウルトラマンで気づいた、「2022年のシミュレーション系SF」の現在地

シミュレーション系SFは変わった。 かつて、シン・ゴジラが、仮面ライダークウガが、踊る大捜査線が、平成ガメラが、パトレイバーが、「リアリティ」を軸にして、現実でSFが起こったらどうなるのかをシミュレーションしていた。アメリカでいえば、ウォッチメ…

『シン・ウルトラマン』お気持ち表明

リアリティとしては、シン・ゴジラがシミュレーション的だとして、こっちは拍子抜けするほど現実感が薄い。「天気の子」における、「何が起こってもおかしくない」という警鐘はなく、もともと非現実に慣れてしまっている人々が映し出される。官僚社会や国際…