大草原の小さな寒村

孤独に歩め。悪をなさず。求めるところは少なく。林の中の象のように。

2022-01-01から1年間の記事一覧

「ぼくらの」を一気読みして憔悴した

もう、しばらくすれば。2022年間。地球人類が連綿と紡いだ西暦のこよみに、一つ数字が刻まれる。傷跡のように、「2」にもう一角、「3」と。ぼくはこの事実に耐えきれない。毎年こんなことを思いながら、布団でただ横たわる。今年は特にひどくて、食事もサラ…

Twitterと敗北主義 ランバ・ラルとアムロ・レイと僕

「敗北主義」という言葉がある。漫画ヘルシングを読んだ人ならたぶん言葉だけ知ってるであろう単語。敗北主義とは - コトバンク辞書の意味合いではこういう意味だ。くだけて説明すりゃ。「負けてても良いんだよ!」に尽きてしまう意味。僕は、この言葉を受け…

『ぼっち・ざ・ろっく!』。音楽業界のロシア・ウクライナ戦争。帝国とマルチチュード。について。

日本時間2022年11月29日現在。2022年2月24日(その前からうすうす予感が脳裏に走っていたが)ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、僕は今年、趣味のロックバンドDIG収集にやる気が薄れた。それは、2020年コロナ上陸当時のコロナによる世間の異常な空騒ぎの…

アニメ漫画におけるフーコー

まず開口一番に話したいのは『ガンダムUC』です。個人的にガンダムシリーズで結構好きです。かなり強度のある話だと思ってます。めっちゃ拾い画像で申し訳ないんすが、これはラディカルな社会学の真意を突いている台詞だと思います。スペースノイドとアース…

『けいおん!』『ぼっち・ざ・ろっく!』「きららアニメ」「難民枠」に関する私論。

ときに、西暦2013年。アニメ『ゆゆ式』から『きんいろモザイク』への潮流を起点に、「きららアニメ」というジャンルは確たるものになった。キャラクターのゆるふわな日常が描かれることが特徴の、「難民枠」。あるいは「空気系」とも言えるジャンルだ。この…

『秒速5センチメートル』における『one more time one more chance』新説

僕は秒速5センチメートルを何度観ただろうか。 実際パトレイバー2に匹敵するほど、超ヘヴィーで観ているのは確かだ。もはやポエム台詞ひとつひとつがオルガ・イツカの詠唱のように聞こえる。ここでは小説版の話は加えない。映画逆シャアでベルチルの話をする…

Galileo Galilei 再結成によせて

タイムラインでGalileo Galilei再結成の文字が踊った。本当なのかと、リアルタイム検索。マジだった。私にとってGalileo Galileiは、多感な10代後半から20代前半まで、一番聴いた活動中の邦楽ロックバンドだ。はじめに出会ったのは、駅前TSUTAYAさんで借りた…

国葬とかウクライナとかリコリス・リコイルの感想 あるいは日記。

現代人類ちゃんは、「<帝国>と<マルチチュード>」の世界で生きているんで、安倍晋三国葬反対過激派が出現しても、しょせん「唯物的に必然」だとしか思わない。これは悪の枢軸国をやっつける世界の警察アメリカが当たり前だったイラク戦争の時から変わら…

言語と認識

「思考は、言葉によって規定されたりはしないッ」ドカーン サーリーロデッドヨンデー♪『虐殺器官』のジョン・ポールは先進国と後進国との壁を作るためにアジテートしてきた男だが、人類文明は資源の奪い合いによって成り立っているので、先進国だけスパっと断絶させて…

サブスクではダメだ。タワーレコードでCDを直接買うべきなんだ。

音楽が好きで、とくに最新の流行に目がないという音好きは、タワーレコードに行って実物のCDを買うべきだと僕は思う。タワーレコードにある、自分の好きな音楽コーナーの、店員が情熱を込めて描いた手書きのポップ。プッシュしているバンドたちのコーナーの…

次なる「漫画カルチャー」はアマチュアが中心となる。

いま、マンガ業界は、パソコンやスマホで読める無料型プラットフォームが破竹の勢いで人気を集めている。「タコピー」を輩出したジャンププラス。「僕ヤバ」のマンガクロス。etc...弊TLでは、みながWEB作品の更新を楽しんでいる光景が当たり前になった。雑誌…

『Ζ・刻をこえて』時代の転換期に聴きたい一曲

ここ数年に起こった、ウクライナ侵攻、コロナウィルス、衆院選、そして参院選という時代の転換期。そのたびに、ぼくには、聴かずにはいられない一曲があった。それが『Ζ・刻をこえて』 「機動戦士Ζガンダム」とは、まるで不可解なオーパーツのような作品であ…

漫画一作描きました!

ガン・オーダーズ THE GUN ORDERS ~銃撃請負人~ rookie.shonenjump.comちょーかっこいい漫画だと思ってるんで、ぜひ読んで下さい!!

デジタルアニメがもたらした青空の世界

ちょうど「ブギーポップファントム」をDアニメで観てた。ちょー陰険な演出が冴え渡ってる。暗い。とにかく暗い。本作はセルアニメだ(時代の過渡期でデジタル機材も使われていると思うけど、セル画が流出してたので、そう認定)。そして、ブギーポップは2019…

「原理原則主義者」であるということ

幼い頃、父親とこういう会話をした。 ぼく「今ならネットで何でも買える、それは善いことだ。」父「ネットでなく実物の売り場に行くことのほうが善い。売り場にたどり着くまでに色んな発見と出会える。」ぼく「世の中は新卒主義だから一歳でも若くないと採用…

近況報告!

Twitterで人間不信に陥りました。 タイムラインを観て、窮屈だなーって感じた。同じタイプな人をフォローしつづけても、自己エコーチェンバーなタイムラインしか構築できてねえやんけ。と思った。だから、いろんな見識を持った人をフォローしたんだけど、堅…

シン・ウルトラマンで気づいた、「2022年のシミュレーション系SF」の現在地

シミュレーション系SFは変わった。 かつて、シン・ゴジラが、仮面ライダークウガが、踊る大捜査線が、平成ガメラが、パトレイバーが、「リアリティ」を軸にして、現実でSFが起こったらどうなるのかをシミュレーションしていた。アメリカでいえば、ウォッチメ…

『シン・ウルトラマン』お気持ち表明

リアリティとしては、シン・ゴジラがシミュレーション的だとして、こっちは拍子抜けするほど現実感が薄い。「天気の子」における、「何が起こってもおかしくない」という警鐘はなく、もともと非現実に慣れてしまっている人々が映し出される。官僚社会や国際…

BBHF「バックファイア」

Galileo GalileiとBBHFについて 当初、音楽系のブログをやろうと思ってたけど、なかなか音楽に対する思いを書けなかったから書く。この曲はぼく的に思いを綴ることができる曲だった。ぼくは、このBBHFというバンドの前身、Galileo Galileiを、ご存知「あの花…

映画のネタバレ再生 倍速再生 音楽のイントロスキップ ギターソロスキップ

朝のワイドショーで何回か語られてたこれ。今の若者をバカにしてる格好のネタだと思ってるが、あくまで個人的な見解でマジレス。・ネタバレ再生 別に悪いことじゃないと思う。映画は読み解くもので、ライブ感で進んでいくジェットコースターじゃないんだから…

僕たちにはもうタイラー・ダーデンはいらない「グリーンブック」

こないだ午後ローで再び観て、やっぱ良いよなぁーこの映画と、しみじみ。グリーンブックは、とにかく健全なホモソーシャル映画だ。バディものは、だいたい妙にマチズモに基づいてカッコつけてるパターンが多い。同じロードムービーの文脈だと、「ノッキンオ…

ツイートする理由がなくなった。

Twitterでつぶやく理由が分からなくなった。 分からなくなったからツイートしてないんだけど、今のアカウントは今後の同人活動に使うから垢消しはしない。ゆえに保身のため昔のイキったツイートを片っ端からぷちぷち消している。その中で、昔のツイートを漁…

コラム・なぜぼくらは90年代から逃れられないのか その1

「ザ・バットマン」においてブルースがカート・コバーンに仕立て上げられてしまった理由 いわゆるシュワやスタローンみたいなマチズモ像をジェイソン・ボーンが覆したと言われる逸話。本当に覆せたと言えるのか?それでもジェイソン・ボーンは派手に白兵戦を…

表現の自由とはなんだ?あんたのそれは「表現」なのか?

前書いた記事が「炎上マーケティング」だと断定して書いて、もっと根本的なことを言えなかったから(文章下手杉内)、ここで総合的な表現とは何なのかを書く。 それは表現ではなく商品です この資本主義社会で生きる上において、表現には全て値札が付きます…

月曜日のたわわ

「月曜日のたわわ」 これは、炎上マーケティングが国連まで飛び火するとは思わなかったというハナシだと思うんですけど。まず前提として、すべての芸術は差別なんです。意図的に誇張したい部分を誇張し、差異を表現するのが美術なのです。それによりルネサン…

「さよなら絵梨」所感

「ぼくのエリ」は観てないので、そこら辺はなんとも言えないんだけど。本作は藤本タツキ作品で頭一番揺さぶられた。すごすぎる。「信頼できない語り手」「叙述トリック」が漫画という媒体で出来るなんてすごいな。一体何が本当なのかフィクションなのか。こ…

「アメリカンヒストリーX」

怒りは全ての感情に勝つ。憎たらしいやつを怒りに任せて殺したときに脳にあふれるドーパミンの高揚感は、凄まじいものだろう。観客も、ぶっ殺したいやつを一人や二人思い浮かべるかもしれない。そいつをぶっ殺した時を想像してみるといい、多幸感を感じるか…

「他人に期待するな」と「人は一人では生きられない」のパラドックス(微修正版)

「他人に期待するな」 「人は一人では生きられない」 このふたつの言葉は、おおむね「公正世界信念」に組み込まれる、道徳的な言葉です。しかし、この二つは聞いての通り矛盾している言葉です。このテの話は中島義道の本に詳しく書かれてるのですが、私の言…

漫画版「プラネテス」

高校以来の再読。アニメ版の内容は忘れてしまったし、ウチにテレビないから再放送見れないので原作ということで。この漫画の内容はSF宇宙モノではなくて鬱病寛解のプロセス+α。ハチマキは、読む限りでは躁うつ病の傾向が見受けられる。平常状態から、怒りに…

再論。「虐殺器官」

なぜロシア兵はジェノサイドに踏み切る心理に至ったのか。テレビのコメンテーターか何かが言うには、撤退時に背中から撃たれないように完全無力化するそうな。まず第一に、ちくま学芸文庫「戦場における「人殺し」の心理学」や、僕の好きな映画「ブラックホ…