大草原の小さな寒村

孤独に歩め。悪をなさず。求めるところは少なく。林の中の象のように。

アニメ

俗流実存主義者のフィクション観。

nuryouguda.hatenablog.com 奇妙にも、自作の漫画から縁故を深めた、高校生時代から愛読しているブログの主であるヌ・リョウ・グダ氏に、拙著をフックアップされたので、その記事群への感想として。先ずは上記を読んでから、対戦よろしくお願いします。 彼の…

『ぼっち・ざ・ろっく!』と、2023年の邦楽インディー・ロック界の覚え書き

10年ほど前の話。暫く連絡を取っていないが、私には、声優志望の友達がいた。 彼はかなりのヒネクレた“中二病”で、声優学校のチャラい同級生を毛嫌いし、蜷川や富野の「本物の芝居を見ろ」という言葉を真に受け、よく私を、下北沢に居る名も知れぬ小劇団の戯…

『ぼっち・ざ・ろっく!』。音楽業界のロシア・ウクライナ戦争。帝国とマルチチュード。について。

日本時間2022年11月29日現在。2022年2月24日(その前からうすうす予感が脳裏に走っていたが)ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、僕は今年、趣味のロックバンドDIG収集にやる気が薄れた。それは、2020年コロナ上陸当時のコロナによる世間の異常な空騒ぎの…

『けいおん!』『ぼっち・ざ・ろっく!』「きららアニメ」「難民枠」に関する私論。

ときに、西暦2013年。アニメ『ゆゆ式』から『きんいろモザイク』への潮流を起点に、「きららアニメ」というジャンルは確たるものになった。キャラクターのゆるふわな日常が描かれることが特徴の、「難民枠」。あるいは「空気系」とも言えるジャンルだ。この…

『秒速5センチメートル』における『one more time one more chance』新説

僕は秒速5センチメートルを何度観ただろうか。 実際パトレイバー2に匹敵するほど、超ヘヴィーで観ているのは確かだ。もはやポエム台詞ひとつひとつがオルガ・イツカの詠唱のように聞こえる。ここでは小説版の話は加えない。映画逆シャアでベルチルの話をする…

『Ζ・刻をこえて』時代の転換期に聴きたい一曲

ここ数年に起こった、ウクライナ侵攻、コロナウィルス、衆院選、そして参院選という時代の転換期。そのたびに、ぼくには、聴かずにはいられない一曲があった。それが『Ζ・刻をこえて』 「機動戦士Ζガンダム」とは、まるで不可解なオーパーツのような作品であ…

デジタルアニメがもたらした青空の世界

ちょうど「ブギーポップファントム」をDアニメで観てた。ちょー陰険な演出が冴え渡ってる。暗い。とにかく暗い。本作はセルアニメだ(時代の過渡期でデジタル機材も使われていると思うけど、セル画が流出してたので、そう認定)。そして、ブギーポップは2019…

シン・ウルトラマンで気づいた、「2022年のシミュレーション系SF」の現在地

シミュレーション系SFは変わった。 かつて、シン・ゴジラが、仮面ライダークウガが、踊る大捜査線が、平成ガメラが、パトレイバーが、「リアリティ」を軸にして、現実でSFが起こったらどうなるのかをシミュレーションしていた。アメリカでいえば、ウォッチメ…

ガンダムの「ネオナチ」 アゾフとプーチン

webronza.asahi.comまずすべてのガンダムオタクが共通認識してほしいことは、 地球連邦政府は極度のグローバリズムで完成された<帝国>であることです。 すなわち、地球連邦政府は極左政権なのです。ネグリの帝国論の<帝国>が最も当て嵌まるのです。ネグ…

もどかしすぎる『着せ恋』

『その着せ替え人形は恋をする』超面白水産なんだけど、同時に、観ているとやるせない気持ちになる。何って、当然じゃないか。新型コロナウイルスがこのアニメの映す原風景を消し去ってしまったのだ。2022年最先端を行くおたくでギャルな子が、2019年のコロ…

「ファイトクラブ」「マトリックス」問題。「デカルト懐疑論」「ハイパーリアル」と「サイバーパンク」に飲み込まれた欧米の狂気に、日本人はどう立ち向かっていくか。

またも「ファイトクラブ」「マトリックス」問題。 Qアノン、ポスト・トゥルース、トランピスト、そしてオルタナ右翼たちのバイブルに成り下がってしまった、悲しきこの二作。欧米圏では、欧米人が演っているこれらの映画が、ものすごくリアルに視えるのだろ…

オデロの死。死人はただの無機物になってしまうこと。

ガンチャンで配信中の機動戦士Vガンダムが最終回を迎えた。 もうAパートから狂いに狂っている。もう死んだマリアの椅子を拳銃で撃つカガチ。コクピットに居るはずなのにエンジェル・ハイロウに後頭部をゴキッとやられるクロノクル(頚椎が砕けた次の瞬間ファ…

一人暮らし生活120日目 極限に追い詰められた人間たち

極限に追い詰められた人間。人間が、限界まで追い詰められて「こういうしか無い、このセリフしかない」というシチュエーションがすごく好きだ。追い詰められ、原作にはなかった涙を流しながら、「どうすれば」と言うしか無い夜神月。全てのコンプレックスに…

一人暮らし生活116日目 シャアは実はアクシズを押し返そうとしたのでは?

ロシアが隣国で、日本が経済制裁をしている以上、今の日本は戦時下です。常に私はピリピリとした空気感と、モヤモヤした胸糞悪さのなかにいます。戦争が始まって以降メンタルが不調だったり不安な人はこんな時だからこそエンタメに頼ろうね。「自分だけ呑気…

一人暮らし生活115日目 Stand up to the victory

岡崎体育の「スペツナズ」これは2014年当時のクリミア動乱を暗喩したプロテストソングです(確実)。↓のツイートの読み解き方がナルホドネーとなった。岡崎体育の「スペツナズ」(2015)の歌詞が現実になるとはね・・・。歌詞を追っていくとちゃんとストーリー…

一人暮らし生活113日目 キャラクターを三白眼で描きたくない

三白眼キャラクター問題 いや、なんか嫌じゃないですか。エコヒイキしてるみたいで。まず、キャラデザの段階でキャラクターの眼を三白眼にしてしまうと、そのキャラクターには剥がれないバイアスをかけてしまうことになります。全員が三白眼の作品ならいいん…

機動戦士Vガンダム48話について

ここからはじまるウッソとマーベットさんの会話。要約(意訳)で引用します。このシーンは「Vガンダム」のスゴ味です。何度も再生して、ウッソとマーベットの行間を読みながら観るべきです。「Stand up to the victory」のピアノ版(変な話『ゆゆ式』が終わ…

『劇場版パトレイバー2』の柘植行人考 その2

東京に雪が降ると必ずパト2を見るマンなので、こないだ降ってたとき、またも観てた。2007-07-02 ある物事を主人公たちに見せつけることそのものを目的とし、その見せ付ける過程が映画になってゆく、そんな悪役を「世界精神型」と呼ぶ。 序盤、柘植行人のゴ…

Running Animatrix 『ゆるキャン△』

ゆるキャン△しょうじき言うと、本放送時、僕はしまりんのドライさ加減が嫌味に感じていた。野クルに参加しないと言ったり、大垣を苦手と思ってたり。メインキャラがメインキャラに「苦手なんだよなぁ」とか言うきららアニメなど、あまりに珍しすぎて転倒して…

Running Animatrix 『ゲーマーズ!』

ゲーマーズ実写で言ってしまえば、福田雄一作品みたいなスピード感と、こじれまくる人間関係模様の面白さで、ササっと全部観れてしまう。本放送時はチアキがかわいそうだなと思ってたけど、再見するとそうでもない。チアキがモノとノベに発覚したあとも、攻…

Running Animatrix 『ブレイブウィッチーズ』

ブレイブウィッチーズ このアニメは、ボーイッシュキャラによるボーイッシュ同士のホモソーシャルアニメである。少年漫画的主人公のヒカリ。ボーイッシュとしか形容できない人物像の菅野直枝。性格も口調もボーイッシュなニパ。501ストライク~の、少年漫画…

オタクとサブカルよ、習合せよ! 俺は怒っている。

オタク系商業ネットライター、彼らの書くセンテンスほど醜いものはない。彼らは商売で文章を描いているので、まず批評はしない。とにかく、これが危険である。「推してくれ」と依頼された流行りのコンテンツを、無条件で彼らは崇め、コンテクストの生成に一…

一人暮らし生活96日目

生活保護受給にあたって、面倒だが、計画的なお金のやりくりをしないといけない。しかし西村賢太の急逝。とてもショックだ。もう非アクティブになったフォロワーの西村賢太ファンの人生絶望系アカウントがどう思ってるのか気になる。戻ってきてくれ。Gペンを…

アニメにおける「劇中劇」のあつかいかた。

(エラソーなこと言ってるけど、シェイクスピアには明るくないので、あえてここではシェイクスピアを語らない)アニメにおける劇中劇というものは、(私の知っている限り)全てが「本編を越えないクオリティ」であることが「保証」されている。なぜ「保証」…

一人暮らし生活92日目 やっぱ『クズの本懐』面白すぎるわ。

『クズの本懐』に影響されて、『サンボマスター』のベストアルバムを聴いていた。サンボマスター。忘れらんねえよ みたいなバンドと思ってたけど、どっちかといえばフラカン側に近いなぁと思った。 しかし『クズの本懐』のアニメを観て2,3日たった今もスゲ…

デジタルで描いた絵は、芸術品たりうるか?

まず、当方 芸術館には中学の課題と、障害者手帳で一度か二度訪れたぐらいの浅学だ。という予防線を張っておきたい。一応。 さて、pixivを開いてみよう。そこにはページいっぱいに華やかなイラストのサムネイルが敷き詰められ、クリックすれば拡大サイズのイ…

一人暮らし生活89日目 やはりガンダムユニコーンは、「21世紀の現代アニメ」の文脈において絶対に必要な存在。

ガンダムで一番好きな作品と聴かれたら、ぼくならまず0080を挙げる。0080は完璧すぎる作品だ。これは洋画レベルの作品だから、この文脈では掘り下げない。次点でF91か、ガンダムUCになるだろう。さて、アニメ版ガンダムUCが十数年前からメディア展開されて、…

パトレイバー2って柘植の拡大自殺じゃないの?論

今日見返したわけじゃないけど、パトレイバー2は一年に一回は毎年見ちゃうし(謎の習慣)、もう中学の頃から10回以上は見てると思うんで、くそイマサラながら再確認したいけど。このアニメって柘植の拡大自殺の話じゃないの?という解釈で、僕はこの映画を…

『ブラックホークダウン』 『劇場版 SHIROBAKO』

『ブラックホークダウン』 この映画はとてつもなくホモソーシャルが極まってる。仲間の痛みも悲しさも恐怖も全て仲間同士で共有しあうホモソーシャル。最後の述懐シーンだって、「戦争中毒じゃない。仲間のために戦う。」と発言がもうホモソーシャル。それに…

ホビー・ハイザックが見せてしまった、『逆襲のシャア』当時の『ガンダム』の立ち位置。

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988)に登場する、ホビー・ハイザックである。 そして、昼間ぼくが暇つぶしに書いた記事である。 kuvodopopo.hatenablog.comこの推論は、ぼくは逆襲のシャア当時に産まれてないものだから、的外れかもしれないけど、な…