大草原の小さな寒村

孤独に歩め。悪をなさず。求めるところは少なく。林の中の象のように。

2023-01-01から1年間の記事一覧

2023年、観た映画を新作旧作関係なく列挙してみるメモ。

では、面白かったものは太字で。 思うところがあったら、ネタバレにならない程度に所感をば。TwitterやFilmarksにての感想のリンクも置いときます。読みにくかったらすんません。では。 PSYCHO-PASS PROVIDENCE もはや、視聴者の誰もが、PSYCHO-PASS1期を神…

映画感想『CURE』黒沢清(1997)

まず、この映画は『ファイトクラブ』と同じ構造の映画である。現代社会への閉塞感を暴力で打開する映画。その根拠に、現代社会と相容れない人間の本能(村上龍『愛と幻想のファシズム』で云われているような現代社会によってパージされた人間の本能)を置く…

個人主義の果てに。サイコロジカル化する世界。だから、絶対に守らなくちゃいけない「規範」

数年ぶりに映画『虐殺器官』を観てた。徹底的な監視・管理社会でテロリズムを抑止している世界の映画である。「9・11テロ以降」を前提に、人物や社会に関して、かなりリアリティのあるディストピアを描いたハードSF映画だ。映画では言及されてなかったけど、…

音楽映画紹介「青い春」

『青い春』(2002) 監督: 豊田利晃 原作者: 松本大洋Amazon.co.jp: 青い春を観る | Prime Videowww.youtube.com 音楽は、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT。並びに、ミッシェル系の日本のガレージロックバンド複数組が挿入歌を務める。劇中にBGMはなく、これらロ…

陰謀論がたとえ真実だったとしても陰謀論を信じてはいけない話。

きょうは8月12日。何かとは あえて言わないが、この日は毎年、色々と陰謀論が まことしやかにささやかれる日である。私は かつて『陰謀論とは無自覚な悪』『陰謀論は、善人が、嘘の情報を、よかれと思って風説する現象』だと断じた。百歩譲って、陰謀論が真…

ネットスラングと社会ダーウィニズム

最近、Twitterとかユーチューブで散見される、なんだか、シャクに触るような言い回しがある。具体例をあげる。「性癖」の意図的誤用。「擦る」の意図的誤用。「◯◯くん」。といった言葉。 言語体系というものは、もれなく淘汰の上に成り立っている。日本の標…

俗流実存主義者のフィクション観。

nuryouguda.hatenablog.com 奇妙にも、自作の漫画から縁故を深めた、高校生時代から愛読しているブログの主であるヌ・リョウ・グダ氏に、拙著をフックアップされたので、その記事群への感想として。先ずは上記を読んでから、対戦よろしくお願いします。 彼の…

『ぼっち・ざ・ろっく!』と、2023年の邦楽インディー・ロック界の覚え書き

10年ほど前の話。暫く連絡を取っていないが、私には、声優志望の友達がいた。 彼はかなりのヒネクレた“中二病”で、声優学校のチャラい同級生を毛嫌いし、蜷川や富野の「本物の芝居を見ろ」という言葉を真に受け、よく私を、下北沢に居る名も知れぬ小劇団の戯…

「神道」の国教化に関する考察。大政奉還と王権神授説。

明治維新における「大政奉還」は様々な狙いがある。大政奉還の理由は、列強に追いつくため、合理的でスピーディーな日本の近代国家化の方法として、大政委任論をつくり、天皇を中心とした神道の国家を建設する。という言説が最もポピュラーなのだろうか。実…

文化盗用の危険性について。

芸術というものは、有史以降、文明社会と密接につながっている。芸術は、人間の実存を社会に表明する行為である。とりわけ、グローバリズムが世界を覆う前の世界。芸術というものは社会を動かせるだけの力があった。人類史において、その最たる現象は、言う…

「陰謀論者」とは何者か。

かつて、「愛と平和」というスローガンは最も強く、否定/批判することが難しい言葉だった。少なくとも、現代日本社会というものは、愛と平和を享受して当たり前。それ以上に愛と平和がなくては成立しえない社会だからだ。愛と平和は、「良識」という価値観に…