大草原の小さな寒村

孤独に歩め。悪をなさず。求めるところは少なく。林の中の象のように。

コードギアス、楽曲『COLORS』と『WORLD END』の奇跡 歌詞 考察・解釈

再放送コードギアスの新OPは、歌詞が直球すぎて私はあまり好きじゃない。
やはり『COLORS』と『WORLD END』は素晴らしく、両曲のクロスした歌詞と曲調が、アニメソングの中でも私の心のベストテンに入る。

・『COLORS』
しかし、コードギアスという一種の貴種流離譚に、このような爽やかなポップスをあてがう、谷口監督とFLOWと蔦谷好位置さんのセンスはものすごいと思う。
コードギアスの最も特徴的な演出は、「青空」にある。映像中の天候は基本的に「青く晴れた空」が強調されている、ロボットアニメとしては異例なアニメだ。
ルルーシュの心境と初期衝動(発表前の過題は「ルルーシュ」という曲名だったらしい)に、騎士とロボットが存在する世界を、スカも入った豪華で明るいポップスで、まさに“晴れやか”に歌う。
しかも「抗う」とか「立ち上がる」みたいな陳腐なフレーズを並べずに、まさに「青空」を開け放ち、自分も世界も変える、美しく抽象的な歌詞に昇華させたのは見事につきる。
その美しさは、ルルーシュの話だけではなく、われわれ聴き手のみんなにも当てはまる、普遍的な曲でもあった。

満たせぬ日常にあるはずの答えを探して

2番から、Bメロをふっとばしてギターソロに入る。青空に向かって行くタメがすごくいいと個人的に思う。

そして、『COLORS』はのちの『WORLD END』にガッシリと交差する。


WORLD END
蔦谷好位置さんは関わっていない一曲。
しかし、その魂を、『COLORS』のリリシズムを受け継ぐように、コードギアス世界を抽象的に、なおかつ明るく(谷口監督曰く明るい曲にしてほしかったとのこと)歌い上げている。
本曲は、ゼロレクイエムを発動させていくルルーシュとスザクとC.C.、そして「それでも俺は明日が欲しい」とルルーシュが決断したR2の2クール目のOPだ。
本曲もアニメのテーマとしてバッチリ シンクロナイズドされてる。
ユフィの悲劇と、ナナリーとの感情、そして「過去」を求めるシャルルとマリアンヌ、「今日」で世界を繋ごうとしたシュナイゼル、そして「人は明日を迎えるために抗う」ルルーシュという、コードギアスのテーゼをガッシリ掴んでいる曲だ。

聴こえてきたのは何だ 色彩の歌

これは明らかに『COLORS』のことだろう。ルルーシュの初期衝動が、思い起こされる。

砕け散った夢を明日の果てに響かせるように

サビのこの部分が超絶素晴らしくてよい。ユフィへの過ち、そしてユフィが持っていた「合衆国日本」という、砕け散った夢。
それらを越えて、ルルーシュたちは様々な戦い、敵との戦いや、内紛・敵対・裏切り合いの中を戦っていく。

自分ごとで申し訳ないが、私は漫画家志望の夢を持って、出版社に持っていけば何度も認められずに、未だ叶えられない夢をただ抱え込んでいる。
だが、コードギアス的じゃない解釈でも、このフレーズには胸を打たれた。
さらにこの歌自体も、「夢」「願い」というものを持つ全ての人々に刺さるメッセージの曲だと思う。

僕らは真っ白い 今 風になる

『COLORS』での感情のカタルシスをさらに押し上げるフレーズ。
ルルーシュたちが戦ってきた先に歌われた「色」は、『COLORS』の「澄み切った青」ではなく、「COLORS(カラーたち)」から選ばれた「真っ白い」という言葉だった。
ルルーシュたちは「色々」な葛藤を経て、最終的には「真っ白い」風になっていく。みんなで明日を迎えるための。
この疾走感は、『COLORS』とクロスオーバーして、昇華されている歌だ。


この2曲は、あわせて二部作なんだと思う。
僕は最初にギアスの放送を見てからこの2曲を10何年も聴き続けている。100回ぐらいかその以上聴いた。
そして、その分 涙があふれる。
「願い」の尊さ。放送から何年も経った今でも我々の心を動かす、まさにマスターピースな曲だと思った。