大草原の小さな寒村

孤独に歩め。悪をなさず。求めるところは少なく。林の中の象のように。

ガンダムの「ネオナチ」 アゾフとプーチン

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まずすべてのガンダムオタクが共通認識してほしいことは、
地球連邦政府は極度のグローバリズムで完成された<帝国>であることです。
すなわち、地球連邦政府極左政権なのです。

ネグリの帝国論の<帝国>が最も当て嵌まるのです。

ネグリの帝国論とは要するに、世界がグローバル化しすぎて、例えばロシアだとか一国が滅びても全世界を覆う資本主義は破壊できない、世界が<資本主義帝国>になっている。こと言います。

グローバリゼーションというものは左翼です。左翼というものは、あらゆる垣根を取り払い、一つにするという思想です。マルクス主義も同じです。

極左・地球連邦政府が同胞との繋がりを誇示する共産主義の赤い旗を掲げなかったのは、ネグリの言う通り、第二次世界大戦以前の列強帝国が存在せず、すでに世界が切っても切れない資本でつながっていたからでしょう。

そんな<帝国>の構造から現れたのは、まさに「ネオナチ」と言って完全に差し支えない(当時のアニメ業界ではナチを敵にしろみたいな話はともかく)「ジオニズム」という主義を掲げる右派政権、ジオン共和国です。

人類は宇宙に新しい居場所を作ってしまったがゆえに、宇宙移民者にしか判らないアイデンティティー「ジオニズム」が人々をナショナリズムファシズムに導いたのです。

ジオン・ズム・ダイクンは、ヒトラームッソリーニほか、第二次世界大戦前試みられていた「ファシズム」を継承したのでしょう。

ファシズムの父・ムッソリーニは「サンディカリズム」でイタリアの政権を握りました。サンディカリズムとは、経済のコントロールを自国で行うというものを指します。サンディカリズムを直訳すると労組至上主義で、聞こえはリベラルかと思いますが、ムッソリーニはそこにコーポラティズム(共同体で結ばれているという主義)を掲げ、「ファシズム」を完成させたのです。こうしてジオンはファシズム政権を勃興させたと思います。

そしてジオンはザビ家が主権を奪って、いよいよ国内が徐々に「ナチス」っぽい衣装になります。

現代にネオナチ政権は政治的にありえない。という通説が今までの僕等の時代のコモンセンスでありましたが。ウクライナのアゾフや、ロシアのプーチン派と「Z」のトレードマークがあるように、簡単に国家はネオナチに陥ることが今回のウクライナ戦争で明らかになりました。

あからさまなネオナチの意匠しても許されるくらい、宇宙世紀ではナチスという存在が歴史上の彼方で遠いものになってしまったのでしょう。

そして現れるのがティターンズです。

お分かりの通りティターンズ連邦政府のネオナチです。黒い軍服で統制されたエリート集団。一種のネオナチ。

そのネオナチがネオナチを狩るという異常事態がU.C.0087年の真実です。

これもウクライナ戦争で明らかになったことでしょう。アゾフと「Z」。

「ネオナチ」「ファシズム」の勃興は、歴史的に必ず起きてしまうものなのかもしれません


………しかし、富野由悠季と設定を作った人は、あまりに先見の明に長けている。

これをソビエトのアフガン侵攻の時代に考えたとは驚くべきニュータイプ

一方ハリウッドでは、「ランボー怒りのアフガン(ソ連とドンパチしてアフガンの戦士たちに助けられる)」と近い時期にやってたというのに。