大草原の小さな寒村

孤独に歩め。悪をなさず。求めるところは少なく。林の中の象のように。

「グランド・セフト・オート」のムービーシーンが好き。

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グランド・セフト・オート」におけるムービーシーンは独特である。


参考までに、「ヲチド」と「MGS4」。これらと「グランド・セフト・オート」の演出の違いが明白だろう。

グランド・セフト・オート」は、とにかく淡白なのだ。

少なくとも「ヲチド」や「MGS」は、映画技法に基づく演出を行っている。

GTA」はまず、映画演出における古典的な撮影技術に頼らない<影を使う、フレアを炊く、焦点をぼかす、etc...>。

カメラが登場人物たちの周りを周回するだけで、大げさな演出を起こさない。

低予算映画ならまだしも、なんでも可能なゲームという媒体で、意図的に「低予算映画」を撮ろうとしている。

ここに私は非常に「萌え/エモみ」を感じる。

そして、「GTA」は登場人物の表情が、これまた淡白なのだ。

キャラクターの表情にフォーカスしない、表現は概ね大げさな身振り手振りで表現される。

「ファ○ク!」「ガッデム!」という言葉が、タランティーノ映画のように叫ばれる。

低予算の頃のタランティーノの映画とも似ているが、「GTA」はゲームだ。

なにより、3DCGで作られたキャラクターに、まず生気を感じない。そこが魅力なんだ。

GTA」は他のゲームと違いキャラクターのピクセル数が少なくみえる。

まぁ、現在出ている「GTA5」がPS3のエンジンで作られたこともあるが、このゲームは、たとえばUBIソフトのゲームと違って、映像のリアリティを追求しない。

生気のない生き人形のようなキャラクターが大げさな身振り手振りでカメラを回す、たったそれだけ。

この、極限まで客観的なカメラワークがこのゲームのムービーシーンの大きな魅力だと思う。

それも、その客観性をゲームのスタッフは意図しているかのように思える。

GTA」とは、アメリカ文化をイギリスのゲーム会社が皮肉るゲームだ。

客観性を持ったカメラをして、アメリカ人を大いに皮肉ってる。そんな意図を感じてやまない。

この、少しマヌケな感触が、ゲームでしか表すことの出来ない、独特の映像を我らに見せつける。

GTAの、「アンチ・リアリズム」。本当に興味深いです。